メジャーリーグベースボール(MLB)では今年から、投手が投球動作に入るまで、打者が打つ準備を終えるまでの制限時間のルール(ピッチクロック)が設けられました。これは、試合時間を短縮し、野球人気を回復するための手段だそうです。バスケットやアメリカンフットボールなど試合時間が決まっていて、スピード重視のスポーツが人気のアメリカらしいですね。日本人は「間の取り方」に趣を感じますので何だかせわしないという気もします。
そして、もう一つ近いうちに導入されそうなのが「ロボット・アンパイア」です。こちらは判定の正確さによる選手やファンのストレス解消のための手段と言えるでしょうか。現在、マイナーリーグ(3A)では二つの方式がテストされています。一つは、複数の高速度カメラを基にコンピューターがストライク・ボールを判定し、結果を瞬時に球審に伝達し、球審がジェスチャーと声で伝えるというものです。すべての投球にビデオ判定を導入しているイメージですね。
もう一つは従来どおり球審が判定しますが、判定に疑問がある場合はチームがチャレンジできるというものです。チャレンジとなると、投手がボールを投げてからホームベース上を通過するまでの軌道がグラフィック画像で再現され、球場にいるすべての人も映像を見ることができるというものです。チャレンジ自体に球場が沸くのですね。
審判としては、テクノロジーに完全に委ねてしまうと、長年にわたって継承されてきた技術が失われてしまうとの懸念があるようです。さらに、キャッチャーが審判にストライクと判定してもらえるようミットを動かすフレーミングというテクニックも意味をなさなくなります。このため、現場ではチャレンジシステムの方が支持されています。技術継承の観点と言うことですね。
プロ野球は、技術を競うと同時にエンターテイメント性も重要ですから、審判も選手と一体となってゲームの流れをつくる、ファンを魅了するという重要な役割があると思います。まずは、審判が技術力と発信力を磨き、ファンの共感を得られるアンパイア像を構築して欲しいですね。
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